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活動報告

第9回ETJP全体ミーティング報告

  • 日時:2007/05/21(Mon) 10:00〜12:00
  • 場所:株式会社日本レジストリサービス 会議室

ENUMトライアルジャパン(会長 後藤滋樹・早稲田大学理工学部情報学科教授、以下「ETJP」)では2007年5月21日、株式会社日本レジストリサービス会議室において第9回ETJP全体ミーティングを開催しました。

今回のミーティングには16組織から41名の参加があり、最初に会員組織からの情報提供、次に今後のETJPの進め方についての事務局からの提案が行われました。最後に、ETJP初の取り組みとしてBoF(*1)を開催し、参加者全体が車座で議論を行いました。

■ 第1部「情報提供」

第1部ではENUMに関連する情報提供として、海外におけるENUMの最新動向、日本ENUMトライアルのDNS運用状況、国際間相互接続に関する状況報告が行われました。

▼ 海外の動向について

JPNICの根津智子氏から、前回のETJP全体ミーティング(2006年9月)から現在までの間に、動きが見られた各国におけるENUMの取り組み状況について報告されました。

まず、2007年5月現在のe164.arpaデリゲーション組織数が45となったことが報告されました。2006年9月の報告時点から3組織増えています。

次に、ヨーロッパ地域の各国におけるENUMの取り組みのうち、特に注目すべき4カ国(英国、アイルランド、フィンランド、チェコ)における取り組みが紹介されました。これらヨーロッパ諸国ではENUMの商用化、あるいは商用化に向けた準備が進んでおり、特にチェコでは2007年1月22日に完全な商用化オペレーションを開始したとの報告がありました。またフィンランドではオーストリアに引き続きENUM専用の電話番号領域の策定を計画中とのことで、各国とも通信事業者や通信事業当局との交渉をすすめながら、自国へのENUMサービスの展開を図っている状況が報告されました。

▼ 日本ENUMトライアルのDNSの運用状況とIETF ENUM WG活動報告

JPRSの米谷嘉朗氏から、日本ENUMトライアルで利用しているENUM DNSの運用と、その問合せ状況について報告されました。

まず、この1年ほどのENUM DNSの運用状況に大きな変化はなく、米国やEU諸国からの問合せの割合が多いこと、実際に存在すると考えられる固定電話・携帯電話のE.164番号の問合せが検索されていること、日本国内からの問合せが増えていることが報告されました。また、ETJPに割り振られたE.164番号への問合せ数が2006年9月以降増加しているとのことで、これについては今回のミーティングで別途報告された国際相互接続の実証実験の実施も、問合せ数の増加に結び付いているのではないかという情報が、会場から寄せられました。

次に、IETF ENUM WGにおける活動状況についての報告が行われました。インターネットドラフトについてはWGでの議論が終了しIESGに送付されたものが多く、WGの活動状況は昨年よりも落ち着いた状況となっているとのことでした。また、ENUMサービスの登録ガイドラインについてはBCPによるRFC化をめざし、IETF69ミーティングまでに議論を収束させる見通しであることが示されました。

今後のWGの活動については、インフラストラクチャENUM関連ドキュメントがIESG/IABによるレビュー中であることから、少なくともその対応が残っている間は活動を継続する見込みであると報告されました。

▼ IP電話の国際間相互接続の実証実験

NECの嶋田健久氏から、ENUMを用いたIP電話の国際間相互接続に関する実証実験の結果が報告されました。

まず、今回の実験は総務省からの委託研究として実施したものであり、SIPサーバを日本とシンガポールに設置し、相手先のアドレス解決にENUMを用いて企業内IP網間の相互接続を実現したものであることが報告されました。実際の通信回線としては、インターネットとJGN IIを利用しているとのことでした。

次に、実験結果として、ENUM/DNSサーバによる発信時のアドレス解決に関する動作上の問題はなかったこと、ENUM/DNSサーバの参照により500ms程度の遅延が発生したが、体感上の違いは感じられなかったことが報告されました。また、E.164番号の割り当てを受ける方法が日本とシンガポールで異なっており、それぞれの事情に対応した方法で行う必要があったこと、すなわちENUMを利用した国際接続を行う場合、各国におけるENUMの運用状況を十分に確認する必要があることが報告されました。

■ 第2部: ETJPに望むことと今後の活動方針

第2部ではETJP副会長を務めるJPRSの堀田博文氏により、ETJP会員組織へのインタビュー結果とETJPの今後の活動方針案が示されました。

堀田氏からは、今回のインタビューでは通信事業者、ベンダー等9会員に対し、ENUMに関する取り組み状況、ENUM導入に向けた課題、ENUMの可能性に関するインタビューを行ったことが報告されました。その結果ETJPに望むこととして、ENUM関連の情報交換の場としての機能、ENUM技術に関する広報、関連他団体との連携・コーディネーションの必要性が会員組織から寄せられたことが示されました。

次いで堀田氏からETJPの今後の活動として、(1)BoFの開催、(2)2007年10月以降のETJPの継続、(3)第3次報告書の公開、の3つが提案され、同時に2007年11月までの活動スケジュール案が示されました。会場からは特に反対する意見はなく、提案に沿った形で活動を進めていくこととなりました。

■ 第3部: BoF

第3部ではJPNIC/JPRSの佐野晋氏がモデレータとなり、BoFが開催されました。最初に、佐野氏より、ENUMをめぐる議論の動向の説明があり、BoFの議論は、自分がインフラストラクチャENUMとユーザENUMのどちらの立ち位置にいるかを意識しながら進めてはどうかと提案されました。

議論の終盤には、ENUM導入に向けた課題が残るため、実装が進んでいないように考えられることから、どちらの立ち位置についてもETJPの場で議論を継続することが有効であるとの意見が寄せられました。

ミーティングの最後に後藤会長から、次回の全体会議は9月に開催予定であること、必要であればそれまでにBoFを開催する方向で検討することが示されました。

(*1)ある特定のトピックに興味を持つ有志やユーザーグループによる集会

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