活動報告
第6回ETJP全体ミーティングおよび第2回ETJP総会報告
- 日時:2004/09/14(Tue) 14:00〜16:00
- 場所:早稲田大学 理工学部(大久保キャンパス)55N号館 1階 大会議室A
ENUMトライアルジャパン(会長 後藤滋樹・早稲田大学理工学部情報学科教授、以下「ETJP」)では9月14日、早稲田大学において第6回ETJP全体ミーティングを開催しました。今回は26会員、57名の参加があり、会員からの情報提供やワーキンググループの報告に続き、会長から今後のETJPの活動に関する提案を行いました。
▼ 第1部「会員からの情報提供」
会員からは、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の藤原氏によるIETF ENUM WG報告、JPRS米谷氏によるAPRICOT 2005におけるデモ案の提示、株式会社アステックの川守田氏によるネットワーク解析ツール「ASTEC Eyes on the net」の紹介とデモ、そして、WIDEプロジェクトの石田氏よりVoIP/SIP相互接続検証タスクフォースへの参加提案が行われました。
藤原氏からの報告は、2004年8月にアメリカのサンディエゴで行われた第60回IETFにおけるENUM WGとCarrier mini ENUM BOFに関するものです。ENUM WGでは、現状のRFCで実装面が書かれていないことによりプロトコルの解釈などに違いが生まれ相互接続性に問題が生じる可能性があることや、ENUMでのレジストリ登録に関するプロトコル提案などが話し合われ進展があったこと、Carrier mini ENUM BOFでは、Carrier ENUMについて共通認識が無いことが明らかになり、結果として発散してしまったことなどが伝えられました。
続いて、米谷氏からは、2005年2月に京都で行われる予定のAPRICOT 2005においてAPEET(Asia Pacific ENUM Engneering Team)によるENUM/SIPライブデモを行うという提示が行われました。無線LANの普及・浸透のために技術者に機器を配布した例に習い、無線LAN対応携帯電話型SIP端末をデポジット付きで貸し出すこと、参加者全員にAPEETのENUM番号を付与して誰でも参加できるようにすることなどが発表されました。また、このデモのためにPSTN接続回線を提供していただける事業者を募集しているということ、JPRSが開発したENUMアプリケーションを作るためのライブラリである「ENUM SDK」と、ENUM SDKを利用して開発したサンプルクライアントである「ENUM Client」をフリーソフトとして公開したことも合わせて伝えられました。
川守田氏からは、アステックで開発しているネットワークの中を直接見るためのツール(ネットワークアナライザ)である「ASTEC Eyes on the net」のENUM関連データへの対応状況の説明が行われ、その動作をデモによって見せるということが行われました。DNS面ではNAPTRやDNSSEC関係を、ENUMサービスプロトコルとしてはSIPやH323、HTTP、SMTPなどに対応していることなどが示されました。
石田氏からは、JPNIC、IPv6普及高度化推進協議会、VoIP推進協議会などの協力組織によって設立が企画されている「VoIP/SIP相互接続検証タスクフォース」の説明があり、ETJPとしてこのプロジェクトに参加するという提案が行われました。この提案は後藤会長により意見が募られたのち、ETJPは本タスクフォースに協力組織として参画していくということが満場一致で合意されました。
▼ 第2部「ワーキンググループからの報告」
ワーキンググループからの報告では、WIDE Projectの石田氏によるPandS-WG(プライバシやセキュリティに関するワーキンググループ)活動報告と、JPRSの藤原氏によるDNS-WG活動報告が行われました。
石田氏からは、前回の第5回ETJP全体ミーティングにて、PandSとして発表した内容に対し、ETJP会員から意見を求める期間を設けたこと、その結果を反映した文書をまとめる予定という報告でした。また、まとめた内容に関しては、必要に応じて、改訂していくことも併せて発表されました。
藤原氏からの報告は、DNS-WGで検討したENUM DNSに関するモデルと要求仕様に基づいたDNSサーバソフトウェアの性能評価に関するものです。この中で、DNSサーバソフトウェアのテストについては32ビットCPUのOSおよびメモリ空間を使い切るケースが多く、結果として評価が遅れていること、およびDNSSECの評価が未着手であることが伝えられましたが、現状のDNSサーバの実装でもENUMの実運用が可能であることが分かるなど、技術的には十分な成果を上げることができたことが報告されました。今後については、報告書にモデルごとに可能な組み合わせを記述することや、データ更新時の性能については別途評価することなどが述べられました。
▼ 第3部「事務局からのご提案とディスカッション」
第3部では、後藤会長よりETJPの活動継続についての提案とディスカッションが行われました。
ETJPは、ENUMの技術課題をトライアルするために、1年かけて行う予定で2003年9月に設立された時限組織でした。後藤会長の提案は、世界的に見ればENUMは普及傾向にあり、今後、ENUM技術の急速な展開や日本国内の状況の変化なども考えられるため、本会の設置期間を1年間延長し、2005年9月末日にしてはどうかというものでした。ディスカッションでは、JPNICとJPRSがETJP事務局と実験環境を継続運用する用意があることが表明され、提案は合意のもと全体ミーティング終了後の総会に諮ることになりました。
▼ 第2回ETJP総会報告
第6回ETJP全体ミーティング第3部終了後定数の確認が行われ、会員数45のうち出席数26、委任が6となり、過半数を得て第2回ETJP総会報告が開催されました。総会では第1号議案として「ETJP設置期間延長承認の件」が諮られ、満場一致で承認されました。
- 第6回ETJP全体ミーティングアジェンダ
- 会員からの情報提供
- IETF報告(株式会社日本レジストリサービス)
- APRICOT2005におけるデモについて(株式会社日本レジストリサービス)
- ENUM システムにおけるネットワーク解析(株式会社アステック)
- VoIP/SIP相互接続検証タスクフォースへの参加に関して(副会長 石田慶樹)
- ワーキンググループからの報告
- 今後のETJPの活動について
[※の資料は会員限定公開]
藤原和典氏 (JPRS) |
米谷嘉朗氏 (JPRS) |
川守田和男氏 (アステック) |
石田慶樹副会長 (WIDEプロジェクト) |
後藤滋樹会長 (早稲田大学) |
会場風景 |