活動報告
第5回ETJP全体ミーティング
- 日時:2004/07/27(Tue) 14:00〜16:00
- 場所:早稲田大学 理工学部(大久保キャンパス)51号館 第二会議室
ENUMトライアルジャパン(会長 後藤滋樹・早稲田大学理工学部情報学科教授、以下「ETJP」)では7月27日、早稲田大学において第5回ETJP全体ミーティングを開催しました。今回は51名、24組織の参加があり、ワーキンググループの報告や会員からの情報提供に続き、TWNICのChing Chiao氏、CCLのAcer Hsu氏による講演を行いました。
▼ 第1部「事務局からのご報告及びご連絡事項」
会の冒頭で、ETJP事務局よりETJPの設置期間に関する提言が行われました。2003年9月17日に設立総会を開催した際に、その会則で設置期間を2004年9月末日までと定めていましたが、この期間を次回の全体ミーティングにおいてご相談させていただきたいというのがその要旨です。
続いて、会員の皆様の情報提供や各フェーズに向けた実験のさらなる推進、特に、フェーズ3については会員間の通信実験ができる環境が整っているので、意欲のある皆様には積極的に動作検証をしていただきたいというお願いがされました。
ETJP報告会の実施についてはフェーズ3の進捗により判断したいこと、他国とのENUMトライアルとの連携については9月頃にどのように行うかのご相談ができるようになるという見込みとなどが報告されました。
▼ 第2部「ワーキンググループからの中間報告」
WIDE Projectの石田氏によるPandS-WG(プライバシやセキュリティに関するワーキンググループ)活動報告と、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の藤原氏によるDNS-WG活動報告が行われました。
石田氏からの報告は、PandS-WGの活動成果として、ETJPモデルに照らし合わせたセキュリティについてと、プライバシーに関する注意喚起のメモの2つの案ができあがったというものです。この2つの案は、会員の皆様からのご意見を反映しETJPの成果とする予定になっています。
セキュリティ面についてはJPRSの森氏より発表が行われ、ETJPにおける現状を踏まえた上で関連するユーザを4つに分類し、それぞれに必要なセキュリティを具体的に整理し、定義した案が示されました。
プライバシー面については石田氏による発表が行われ、ETJPにおけるプライバシーの考え方から、ETJPの実験に参加するにあたってプライバシー上のリスクが発生する可能性のあること、リスクを承知した上でオプトインでのユーザ登録をお願いしたいといった内容が提示されました。
藤原氏からの報告は、ENUM DNSに関するモデルと要求仕様に基づいたDNSサーバソフトウェアの性能評価に関するものです。基本的な考え方は、日本国内で展開しうるENUMのDNSモデルを定義し、要求仕様と評価基準を設定し、ひとつでも実用になれば実装が可能だと判定するものです。測定環境としては机上で判定可能なものとし、有志3社で予備評価を行ったことも報告されました。
この結論としては、評価対象となったどのサーバでも1000万番号2000万エントリは動作すること、結果として10システムに分けることで1億の番号に対応することができるというものでした。この詳細は、次回の報告としてまとめる予定となっています。
▼ 第3部「会員からの情報提供」
JPRSの堀田氏によるAPEET報告と、日本電信電話株式会社(NTT)の吉田氏によるITU-T SG2におけるENUMの検討状況の報告が行われました。
堀田氏からの報告は、APEET(Asia pacific ENUM Engineering Team)に関するものです。APEETは、アジア太平洋地域におけるENUMへの関心の高まりを受けて、技術協力、国際相互接続実験の推進を目的として設立された組織です。各国のccTLDレジストリが創設メンバとなり、日本からはJPRSが、他にCNNIC、KRNIC、TWNIC、SGNICが参加していること、デレゲーションを受けられないときやトライアルのためのルートとなるAPENUM.ORGが用意されていることなどが伝えられました。
吉田氏からの報告は、ITUにおけるENUMの検討がどのようになっているか、その経緯から現在の状況、今後の予定までに渡るものです。この中で、ENUMの管理・運用に関する役割分担はおおむね決まったが、ENUM Tier 0(e164.TLD)の管理については、その管理責任者とレジストリに関する議論があり、やや停滞気味であること。また、ENUM用のトップレベルドメイン名について、米国などが現状の.arpaの管理体制を支持しているのに対し、中国がITUなどの政府間組織が管理すべきという主張を行い対立があることなどが伝えられました。
▼ 第4部「講演会」
今回は「Update from SIP / ENUM Trial in Taiwan & IPOX Project」という題で、台湾におけるENUMトライアルの現状をTWNICのChing Chiao氏、CCL, ITRIのAcer Hsu氏に講演していただきました。
講演はTWNICのPresidentであるDr. Tsengによる挨拶で始まり、Chiao氏による台湾でのSIP/ENUMトライアルのこれまでの状況と、2004年度における検討目標や取り組みが紹介されました。続いて、Hsu氏により、ENUMを利用した携帯電話を使った通話やメールを送るアプリケーションのデモが行われ、会場から多くの興味を引いていました。
次回は、2004年9月14日(Tue)の午後に、第6回ETJP全体ミーティングを早稲田大学理工学部大久保キャンパスにて開催する予定です。
- 第5回ETJP全体ミーティングアジェンダ
- 事務局からのご報告及びご連絡事項
- ワーキンググループからの中間報告
- 会員からの情報提供
- ENUM Activities in AP Region (株式会社日本レジストリサービス)
- ITU-T SG2におけるENUMの検討状況 (日本電信電話株式会社)
- 講演会
- Update from Taiwan SIP / ENUM Trial (TWNIC&CCL,ITRI)
森健太郎氏(JPRS)と 石田慶樹氏(WIDEプロジェクト) |
藤原和典氏 (JPRS) |
堀田博文氏 (JPRS) |
吉田敦氏 (NTT) |
Dr.S.S.Tseng (TWNIC) |
Mr.Chin Chaio (TWNIC) |
Mr.Acer Hsu (CCL ITRI) |
講演会風景 |